FC2ブログ

Entries

第7章 終 局

≪62≫ 日本 = 2090年ごろになると、日本経済は完全に再生した。輸出が増加し、国内の消費も順調に伸び続けている。企業の利益は拡大し、株価は上昇した。なによりも街を歩く人が元気を取り戻し、世の中がひところより格段に明るくなっている。ぼくが地球を飛び出したのは、ちょうど50年前。あのころが、いちばんひどかった。異常な寒冷化が収まったあとも日本は回復が遅く、世界でも二流国に没落してしまう。エネルギー価...

第6章 ニッポン : 2070年代

≪59≫ 迷い = 山梨県の工場敷地内に小さな家を建て、近ごろはそこに引きこもっている。都内にいるとマスコミの攻撃に曝され、疲れてしまうからだ。いつも「あの“神の粉”は、誰がどこで造っているのか」と「貴方は宇宙で5年間なにをしていたのか」という質問ばかり。「お答え出来ません」「記憶がありません」と答える虚しさにも、耐えられなくなっていた。当然、マーヤもここに住んでいる。マーヤがいないと、ぼくは食事にもコ...

第5章 ニッポン : 2060年代

≪54≫ 神の粉 = ある日、JRリニア新幹線会社のお偉方がやってきた。革命的な新素材の話はあっという間に海外にも広まり、共同生産したいという申し込みが相次いでいるのだと言う。そこで海外にも、あのダーストニウムを供給してもらえないかと頼みに来たのである。その辺のことになると、ぼくには何とも言えない。同席したマーヤの方を見ると、彼女は「結構です」ときっぱり返事した。ただ「海外の会社と共同で建設する工場の場...

第5章 ニッポン : 2060年代

≪52≫ 救世主 = 地球は人間が自ら生み出した氷河期を抜け出し、かつての春夏秋冬を取り戻していた。しかし人々を取り巻く政治的・経済的な環境は、暗くて重苦しかった。アメリカと中国が覇権を競い合い、国連は機能を停止した状態。核兵器のおかげで軍事衝突こそ免れているが、2つの大国は重要な資源の獲得に血道を上げている。その結果、金属や食料などの価格が高騰。企業も個人も、物価高に悩まされている。特に原油の国際価...

第5章 ニッポン : 2060年代

≪47≫ 奇跡の生還 = 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。どうやら眠っていたらしい。4年間も眠り続けたのに、どうしてまた眠ってしまったんだろう。宇宙船が大気圏に突入する前、マーヤが差し出した黒い丸薬。地上の重力に早く慣れるための薬だと言っていたが、睡眠薬も含まれていたに違いない。ここは病院だ。その証拠に、女性の看護師が歩いてきた。でも残念ながら、マーヤではない。小太りのおばさん風だ。...

Appendix

プロフィール

marya71

Author:marya71
FC2ブログへようこそ!

最新記事

フリーエリア

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
1431位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
SF
18位
アクセスランキングを見る>>

フリーエリア

フリーエリア

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR