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第1章  ダ ー ス ト ン 星

≪1≫ 2050年7月 気が付いたとき、目に入ったのは真っ白な天井だった。疲れている。頭が少し痛い。再び意識がかすんでしまった。
 
次に目が覚めると、白衣の女性看護師の顔が見えた。卵型で整った顔立ちの美人だ。白衣の左胸に黄色のネーム・プレートを付けている。名前を見ようとしたが「71」という数字しか書いてなかった。
 
「もう大丈夫ですよ。気分はどうですか」と、やや甲高い声で聞いてくる。やっぱり、ここは病院なのだ。でも、どこの病院なのだろう。美人の看護師は日本語で話しかけてきた。だから日本なのか。いや決して、そんなはずはない。眠っているふりをして、一生懸命に思い出そうとした。

ぼくはたしかに種子島の打ち上げ基地から、宇宙に向けて発射されたはずだ。2050年7月31日の早朝。そのときのことは、はっきり覚えている。あの日の空は、ドス黒い雲に覆われていた。上空に積み重なったメタンガスが、太陽の光を遮っているためだ。

猛烈な加速度。それに耐えて数秒後に振り返ると、わが地球はもう満月の大きさにしか見えなかった。この宇宙船は1人乗り。各国の科学者たちが技術の粋を結集して造り上げた、5機の小型宇宙船のうちの1機である。最大スピードは秒速30万キロ。つまり光の速さと同じだ。あらかじめセットされた目標に向かって、宇宙空間を突き進む。

それでも目標に近づくまでには、4年以上かかる。その間、ぼくはぐっすりと寝ているだけでいい。目標に近づいたとき、ひとりでに目が覚めるように設計されていた。そして目が覚めた直後に、宇宙船は予想外の大きな磁気嵐に遭遇、自動操縦装置が故障してしまったのだ。あわてて手動に切り替えたが、うまくコントロールできない。さあ、大変だ。汗がどっと噴き出したことは覚えている。

だが、そこから先はどうしても思い出せない。また眠気が襲ってきた。

                    (続きは来週日曜日)
  

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