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第1章  ダー ス ト ン 星 

≪9≫ 幸せな100年の人生 = 「私たちは物心がついたときから、お前の寿命は100年だと教えられてきました。そのとき子どもたちは『100年しか生きられないから悲しい』なんて、誰も思いませんよ。みんな『100年も確実に生きられるんだ』と喜びます。その喜びを、大人になっても持ち続けているんです。だから昔の賢人たちが決めたことに疑問を持ったり、反対を唱える人は誰もいません。

もっと昔の人は、病気や怪我でいつ死ぬか判りませんでした。可愛い子どもを病気で亡くしたり、幼い子どもを残して事故で死んでしまう若い親たち。考えただけでも、ほんとうに可哀そうですね。そんな悲劇にいつ襲われるかしれない人生と、100年の寿命が安全に保障される人生と、どちらが幸せかは明らかでしょう。もしいま国民投票をやっても、95%以上の人が賛成すると思いますわ。ねえ、あなたも同感でしょ」

最初に顔を合わせたときは、何やら野蛮人でも見るような目付きだったブルトン夫人だったが、いまは興奮の面持ちで喋りまくる。マーヤもいつもより早口で、通訳してくれた。水を向けられたブルトン院長は、うなづいて話を引き継いだ。こんどはマーヤの口調もゆっくりになる。

「人口は1000万人ですから、毎年10万人が100歳になる計算です。そして子どもを欲しがる若い人には、年間10万人の赤ちゃんが授かるようになっている。だから人口はいつも1000万人に保たれるのです。もう1つ医学的に補足しておきますと、この国の人は満100歳に近づくと、自然に静かな休息を欲するようになる。遺伝子操作で、みな生まれたときからそうなるようにプログラムされているんです。

ですから死ぬことに対する恐怖感はありません。みんな満100歳の10日前ぐらいになると、いそいそとして特別な病院へ向かいます。そこでは宗教的な行事も何もありません。ただ100年を無事に生きたことを感謝し、子どもや孫へと世代交代する喜びを噛みしめるのです」

胸に「50」のプレートを付けた女性ロボットが、皿を運んだり片づけたりしている。マーヤと似たような感じだが、どこか違っている。それにロボットの場合は、年齢差をあまり感知できない。マーヤとそのロボットの顔を見比べながら、聞いてみた。

――ロボットも胸に番号を付けていますね。ロボットも100歳で死ぬんですか?
「あゝ、それには別の理由があるんです。でも私が話すよりは、メンデール教授に聞いた方がいい。科学大学院の学長で、この国の科学技術を取り仕切っている人です。ご紹介しますから、会いに行ってください」と言って、ブルトン医師はロボットたちに目くばせした。

                       (続きは来週日曜日)     

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