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第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪19≫ とっさの忠告 = このところ、連日のように工場や農場の見学に出かけている。機械や日用品、それに食品を造る工場。みな完全に自動化されており、広い工場の要所要所にロボットが立って働いている。人間が1人か2人いる工場もあったが、全く人影のない工場の方が多い。マーヤに聞いてみると、何か難しい判断が必要になる工場には、人間が配置されているのだそうだ。

不思議なことに気が付いた。最初のころ、ロボットたちはぼくたちの訪問にほとんど関心を持たない様子だった。それが工場巡りを進めるうちに、だんだん多くのロボットがぼくらの方に視線を向けたり、なかには手を振るようなものまで現われたのだ。けさ訪れた家具の製造工場では、全員が仕事の手を休めてお辞儀をしたから驚いてしまった。

ぼくたちの工場見学が、ロボットたちに知らされるようになったのだろうか。それにしても奇妙だなあ。
――マーヤ、このごろロボットたちがヤケに歓迎してくれるね。いったい、どうしたんだろう。

家に帰ってからマーヤにこう聞いてみると、彼女は急に真面目な顔になって口を開いた。
「きょうは正直にお答えします。実はこの間、メンデール教授から『賢人会がロボットと人間の結婚について議論している』という話を聞きました。私たちロボットにとっては、ものすごく興味のあることです。そこでみんなに知らせようかどうかで、とても迷いました。悩んだあげく、あの親友のロージに相談したんです。

するとロージは『あなたは心配しなくていい。私に任して』と言いました。それで私は肩の荷を降ろしましたが、何事にも積極的なロージはこの話をみんなに伝えたようなのです。だからロボットたちは『いい話を教えてくれてありがとう」というつもりで、私たちにサインを送ってきたのだと思います。私はまだ少し罪悪感を拭い切れないのですが」

――たしかに通訳をして得た情報を漏らしたことには、問題があるかもしれない。でも悪い話ではないから、君がそんなに考え込む必要はないよ。人間の同性婚はもう完全に認知されているらしいから、ロボットが人間と結婚してもおかしくないんじゃないかな。

こう言ったとき、ぼくの頭にはメンデール教授の真剣な顔つきが蘇った。彼が「人間の若い男性はロボットがよく面倒をみてくれるため、結婚したがらなくなった。ある意味では、女性ロボットの反乱の方が男性ロボットの判りやすい反乱より怖いのかもしれない」と語ったときのことである。とっさにマーヤに、こう忠告した。

――話があまり大げさになると、人間たちは警戒するかもしれない。だからロージに「あまり騒がない方がいい」と伝えてほしい。

しばらくすると、この忠告が思わぬ結果を生むことになるが、この時点では何も予知してはいなかった。

                         (続きは来週日曜日)
  

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