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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪21≫ 97歳のおばあさん = この星に来てから半年も経ったが、ちかごろ心配なことがある。けさも美味しい朝食を食べたけれど、ぼくの部屋代や食事代は、いったい誰が払ってくれているんだろう。急に払ってくれと言われても、ぼくは無一文だ。
これだけ科学が発達している国だから、支払いはカードとか電子マネーで済ませているのだろう。最初のころは、そう思って深くは考えなかった。しかし6か月分も勘定が溜れば、相当の金額になるに違いない。マーヤに聞いてみなければ。

その夜、何度か行ったことのある近くのレストランへ出かけた。家族づれやカップルのお客が多い。そこでマーヤに「ここの支払いはどうしているの」と聞いてみたが、キョトンとして答えられない。するとマーヤはすっと立ち上がり奥の方のテーブルに歩いて行って、そこの女性客と何やら話している。そして、その女性客を連れて帰ってきた。

「ご近所に住んでいらっしゃるガーシュさんです。昔のことをよく知っておられるので、お連れしました」とマーヤ。
白髪交じりなのでお年寄りだとは思ったが、左胸のプレートをみてびっくり。なんと、その数字は≪03≫だ。御年97歳ということになる。聞けば3年前に、ご主人は100歳の寿命を全うされたのだそうだ。

「私のような者でも、お役に立てばと思ってやってきました。いま、この国におカネは存在しません。どんな物でもロボットたちが作ってくれますからね。ロボットはタダで働いてくれますから、人間は食べ物でもお着物でもタダで手に入れることができるのです。だから貴方も、支払いの心配をされる必要はありませんよ。

大昔は、この国でもおカネが使われていたんです。私のおじいちゃんが『オレの若いころには、おカネというものがあってね。おカネがないと、何も買えなかった。おカネを得るためには、働かなければならなかった。当時の人々はおカネを手に入れるために人を騙したり、人を殺したり。バカなことをやっていたんだよ』とよく言ってましたっけ」

そうか、この国にはおカネがないんだ。そうすると・・・。
考えていたら、ガーシュさんがこう続けた。

「そうそう、私の知り合いにショッピーさんという人がいてね、いまでも歴史博物館の館長をやっているんです。そこへ行かれたら、昔のおカネがあった時代のことがもっとよく解ると思いますよ。私から連絡しておきますから、ぜひ会いに行かれたらいい」

97歳とはとても思えないガーシュおばあちゃんの言葉に感激し、さっそくその勧めに乗ることにした。

                           (続きは来週日曜日)


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