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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪22≫ ピカピカの歴史博物館長 = 玄関前で出迎えてくれた館長は、陽の光に照らされて輝く銀色のローブを着た女性だった。すらりとした体形で、顔立ちはすこぶる整っている。全く同じ背格好の女性ロボットと腕を組んだまま、微笑みながらお辞儀をしてくれた。こちらも慌ててお辞儀をする。

「よくいらっしゃいました。私が館長のショッピーです。このロボットはラフマ。生まれたときから一緒で、一心同体の関係です。どうぞ、よろしく」

歴史博物館は郊外の森のなかに、忽然と聳え立つ大きな建物だった。ルーブル博物館のような近代的な建築物ではなく、むしろ大英博物館に近い感じ。建物の周りは広大な広場になっていて、大勢の人が散策したり、なかにはシーツを広げて弁当を食べている家族もいる。こんなに大勢の子どもを見たのも初めてだ。

やや薄暗い館内に入っても、ショッピー館長のローブは光ったまま。落ち着いた感じの応接室に通された。ぼくのマーヤはなにやら緊張しているようだ。

「ガーシュさんから伺いましたが、貴方はこの国でおカネが使われないことに興味をお持ちなんですね。もちろん、昔はおカネが流通していました。しかし、だんだん流通量が減って、全く使われなくなったのは、いまから100年ほど前のことです。
この博物館には政治や社会、科学や芸術など、いろいろな資料館があります。経済資料館もありますから、あとでご案内しましょう」

――すると、いまの人たちはおカネを使ったことがないわけですね。でも、それでうまく行くんでしょうか。ちょっと信じられないんですが。

「地球人の貴方からみれば、無理もないことかもしれませんね。でも人々の生活に必要な物資は食料でも機械でも医療品でも、みんなロボットが作っています。その原料もロボットたちが生産しています。ロボットに給料は要りません。ですから人々は、おカネを払わずに何でも手に入れることができるのです。ただロボットが働くためには、電力が必要ですね。けれど、この電力も太陽光発電ですべて賄えます。

したがって、おカネの要らない社会が実現した最大の要因は、ロボットの能力を人間並みにまで進化させたことだったと言えるでしょう。あとで科学資料館をご覧になれば判りますが、この国のロボットも最初のうちはコンピューターを人間の形に組み込んだだけのものでした。それが人間と同じ能力を持つようになったのは、人間の脳内構造をDNAごとロボットに移植する技術が開発されたからなのです。それが約100年前。そして、おカネが姿を消しました」

                           (続きは来週日曜日)    


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