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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪23≫ ボランティア = 銀色のローブに身を包んだショッピー館長とロボットのラフマは、ぴったり身を寄せてテーブルの向こう側に座っている。こちら側のぼくとマーヤの間は、やや離れている。距離を詰めようかと迷ったが、思いとどまった。

――でも館長、働いている人の給料はどうしているのですか。病院のブルトン院長や科学大学院のメンデール教授、それに貴女も。

「この国では約3割の人たちが、たしかに働いています。でも、みんな報酬など貰っていない、いわゆるボランティアですよ。正確に言えば、お医者さんや大学の先生、大工場の責任者などは決まった仕事を毎日こなしています。ほかに道路の清掃をしたり、子どもの勉強をみたり。こういう人たちは不定期なボランティア活動をしています。

みんな欲しいモノは何でも手に入りますから、報酬などは必要ないのです。自分で世の中のためになることをしたい。そう考えて仕事をしているんです。子どものときからやりたいことを決めて、専門コースで知識や技術を身に着ける人も少なくありません。医師や学校の先生、ロボット工学の技術者などですね。だから、おカネは必要ないんです。お解りでしょうか」

――ということは、約7割の人が遊んで暮らしている?
「そう言えないこともありません。しかし大抵の人は、趣味に没頭しています。たとえば鳥や虫や植物の研究。大きな望遠鏡で夜空の星を観察したり、なかにはカビの培養に精を出したり。その成果を発表することに、生きがいを感じているわけです。
ところで申し訳ありませんが、きょうはこれから子どもたちに歴史の話をしなければなりません。明日また来ていただければ、ゆっくり館内をご案内しましょう」

最初から気が付いていたが、ショッピー館長とラフマの胸には≪29≫のプレートが。だから2人とも71歳ということになるが、とても若々しい。2人が地球にいてテレビのニュース・キャスターになったら、大評判をとるだろうなんて考えてしまった。

その晩、マーヤとこんな話をした。
――あの2人は、どういう関係なんだ。すごく親しそうだったね。
「私も女性とロボットのラブラブ関係を見たのは初めてです。男性とロボットが兄妹か夫婦のように親しくなっているのは、ときどき見かけるのですが。そういう人たちが、正式に結婚できることを望んでいるのは間違いないでしょう。賢人会の議論は、どうなっているのでしょうね」

――ショッピーさんとラフマも、そうかしら?
「ご自分で、お聞きになってみたらいかが」

それはちょっと遠慮しておこうと思った。同時に「マーヤはどうなんだ」という質問も、呑み込んでしまった。

                           (続きは来週日曜日)


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