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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪27≫ ロボットの実力 = 「初代の賢人会議長に選ばれたのは、バックさんという人でした。ほら、ここに肖像画が飾ってあります。この人はとても評判のいいお医者さんであると同時に、ロボット工学の専門家でもありました。このため議長に就任すると、ロボットの能力を人間並みに引き上げることに全力を挙げたのです。

科学者や技術者、医者を集めて、ロボットの人間化を研究させました。ロボットの頭脳はコンピューターの回路にほかなりませんが、そこに人間の神経回路とDNAを写し込む作業です。この画期的な研究はバックさんが亡くなったあとも続けられ、いまから100年前にほぼ完成しました。

バック議長は初め、労働力不足を補うことを目的に研究させたのです。しかしロボットの精度が上がるにつれて、生産や流通の仕事はほとんどがロボットによって肩代わりされました。その結果、多くの人々が職を失いましたが、食料や衣料などが無料で配られたので大きな問題は起こっていません。

――バックさんの政策が功を奏したわけだ。いまの“経済のない世界”が見えてきたことになりますね。それで肖像画が飾ってある。

「そう。とても偉い人だったと、国民のみんなが考えています。さらにバック議長は、各家庭にもロボットを配置するよう指示していました。これで人々は家事や育児からも、しだいに解放されたのです。そして重要だったのは、この家庭に配属されたロボットが、賢人会と国民の間の意思疎通に活用されたことでしょう。

つまり、賢人会の決定事項はすぐにロボットを通じて、各国民に伝えられた。また人々の意見は、逆にロボットから賢人会のコンピューターに集められたのです。これで政治に対する国民の不満も、ずっと少なくなりました。言い方を変えれば、いつでも国民投票が実施されているようなものですね。だから時間ばかり浪費する議会などは、完全に必要なくなってしまったのです」

――なるほど、なるほど。究極の民主主義とも言えるわけだ。そして250年も、その体制が続いているのはロボットのおかげでもあるわけですね。

「この次の部屋では、そのロボットの進化の歴史をご覧になれますよ」

ショッピー館長は、こうしたダーストン国の歴史を誇らしげに説明してくれた。ラフマは相変わらず、館長にぴったり寄り添っている。ぼくのマーヤは少々くたびれ気味だ。

                          (続きは来週日曜日)


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