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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪28≫ 人間を超える? = 次の部屋に入ると、壁際にロボットが100体あまりも整列していた。その壮観に目を奪われる。隣のマーヤも息を呑んでいた。ショッピー館長が、いちばん手前のロボットを指して説明を始める。

「これは350年ほど前、チャイコ星で造られた初期のロボットです。ご覧のように、背が低く動物に似ているでしょう。体は金属製で真っ白に塗られています。前に立った人間に『こんにちは』ぐらいの挨拶はできますが、まだ足がなくて車で動いています。可愛いいロボットのご先祖さまですね。
 
でも20年もたつと、この通り。2足歩行で、走ることもできるようになりました。背が高くなり、形も人間並みになっています。ここで見かけより進歩したのは、脳内構造です。記憶力と分析力では、人間を完全に上回りました。ですからチェスのような競技をやらせると、人間の方がどうしても負けてしまう。競馬の予想でも、圧倒的に当たる確率が高い。この結果、チェスや競馬などのゲームやギャンブルは、しだいに廃れてしまったのです」

そういえば、日本でも将棋に強いロボットが現われて話題になっていた。あれから将棋は廃れて行ったのだろうか。

「そして315年前、私たちの祖先がチャイコ星を脱出したころには、いわゆる機械的ロボットは完成していました。いろんな工場に大量のロボットが配置され、人間は多くの労働から解放されたのです。しかし生産工程で不具合が生じるとロボットは対応できず、少数の人間が管理者として必ず働いていました」

――その次は、ロボットの完全な人間化ですね?

「はい、その研究はチャイコ星時代の最後の10年間に集中的に行われました。そして私たちの祖先がダーストン星に移住したころには、実験的には成功していたと言われています。ダーストン時代になってからも研究は続けられ、いまからほぼ100年前に人間並みの判断力と感性を持ったロボットが世に送り出されています」

ショッピー館長はラフマとマーヤの顔を覗き込みながら、こう付け加えた。
「いまのロボットたちは、自分で新しい知識を吸収し、思考のレベルを高めることができます。経験を積むことで、少しづつですが自分を改造する能力さえ持っています。だから、こんなに愛らしいラフマがここにいるんです。

でもロボットたちは、いずれ人間をあらゆる点で超えて行く可能性も少なくありません。これから人間とロボットが、いかに共存していけるか。これが大問題。人間とロボットとの結婚問題も、ここから発生しているのです」

                            (続きは来週日曜日)


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