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第3章  経 済 が な い 世 界 

≪31≫ 子どもの教育 = どんな物でも頼めば手に入るから、この国の人々には虚栄心も劣等感もなくなったという。すると競争心もないのだろうか。聞いてみると・・・。
薄緑色のローブをまとったCさんが立ち上がった。プレートには≪65≫とある。小柄だが気の強そうな感じ。2児の母親で、ボランティアで中学校の講師をしていると自己紹介した。

「競争心は人間の本能ですから、なくなりませんよ。たとえば私なんかも、自分が受け持っているクラスの生徒たちを少しでもいい人間に育てたい。常にそう考えていますよ。裏返して言えば、ほかの先生に負けたくないと思うわけです。また私の夫はもう仕事をせずに、好きなゴルフに明け暮れる生活をしています。でも「きょうは1打差で××さんに負けた」なんて、くやしがっていますね。

ただし他人より金持ちになりたいとか、社会的に偉くなりたいといった種類の競争心は昔の話。現代では、全くないと言ってもいいでしょう。競争心が社会の発展につながった時代は、過去のものになりました」

――それでは子どもたちの競争心については、どうでしょう。テストで周りの子どもたちより、いい点数をとりたいとか。
Cさんが笑いながら、こう答える。

「学校でテストはやりません。テストというのは、だいたいが記憶力の調査になってしまいます。歴史や国語、物理や数学にしても、年号や公式をどこまで覚えるか。それで点数が決まってしまう。

ところが記憶なら、人間はロボットに勝てません。ですから人間はロボットが蓄積した記憶を引き出して、どのように使うかを子どものときから勉強するのです。それが上手な子もいれば、下手な子もいます。でも、その程度を数値化することはできません。私たち教師は一人一人の長所を見付けて、そこを伸ばすよう指導するだけなのです」

DさんとEさんは、ともに50代。おっとりとした感じで、口数も少ない。交互に喋りながら、こんな話をしてくれた。
「私たちは、息子と娘が結婚している間柄です。この子たちは、ともにロボットによって育てられたと言っていいくらい。いまでも私たちのお説教は無視しても、ロボットの言うことは聞くんですよ。ほんとうの親子みたい。最近はこういう“ロボコン”が増えているそうですが、全く問題はありません」

このあと女性7人による華麗なるパーティーは、大混乱に陥った。

                             (続きは来週日曜日)


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